沢ふみ子

こんには。私は1954年生まれ。もうすぐ69歳になります。

金沢市の隣、白山市に住んでいます。『白山市』といっても、それは統合されてからの名称で、昔の鶴来≠ニいう場所です。ひと言で言えば田舎。昔は桐を使った有名な高級家具店や大きな日本酒の造り酒屋やあったのですが、今街中は静かです。若い人は車で小松や金沢へ働きに出て所帯をもちます。

当然街中は年寄りばかりですね。最近、鶴来病院を出たり入ったりしていた長患いの舅姑が相次いで亡くなりました。

楽になったはずなのに、心にぽっかり穴が空いた気分です。今後は自分のためになにかしようと思いました。

このままじっと自分の死を待つのは虚しい。ところがなにをしていいかわからない。小学校、中学校時代の友人に会っても孫や嫁の話題ばかり。子どものいない私は聞き役に回るのにも飽きました。

小松で育った私は学校帰り、丸の内公園の中にある図書館でよく過ごしました。勉強は苦手でしたが娘時代は他愛もない文章を、空想しながら書いて楽しんでいた、そのことを思い出し、なにかささやかな文章を書く場≠ェないか、と鶴来町の小さな図書館で係員にネット検索していただいた。ーー書かなくなって久しい。無為に年とってしまった、大丈夫だろうか?と不安でした。

「文藝同人無刀会」の存在を知りました。富山は少し遠いけど、行ってみようと思いました。あらためて入会する気持ちになったのは、富山の文学会館でお会いした時の代表・大坪命樹さんの言葉でした。

「老若男女、健康な人もそうでない人も、垣根を取り払って共に交わるユニバーサルデザインが僕の理想です」

あ、年寄りでもいいんだ……と安心しました。余生はあと何年かわかりませんが、生かされている間、楽しく生きよう。

入会した場所≠ナ、若い方に教えていただき、物を書く勉強をしようと思います。少しずつ文章を書けるようになったら嬉しいです。生き甲斐になるでしょう。どうかよろしくお願いします。

沢ふみ子さんは、メンバー不足の当同人に奇しくも縁が繋がったありがたい人材です。

初見では、物静かでお淑やかな夫人と見受けられましたが、勉強会に招いてみると、とても気丈そうできさくに話し掛けてくるおしゃべり好きの女性のようでした。話を伺うと、とても勉強家で、絶えず自分の小説を書くための材料や技術を、ほかの小説から汲み取っていこうとする姿勢には、かなり若さが感じられます。たぶん、僕(大坪命樹)よりも気が若いのではないでしょうか。

沢さんの加入は、老若男女、障害の有無を問わずに、文学を共通項として集い、創作を研鑽していくという同人の理想に、一歩近付けたような気がします。同時に、勉強熱心な沢さんの文学から、われわれも多くを受けとることができるのではないかと、期待されます。