これは、北日本文学賞に出した作品なのですが、作風があまりにも合わず(だと思う)、見事に玉砕した作品です。この失敗を機に、私の作風は大きく変わるのですが、どう地味にしてみてもダメになる一方だったので、最近、また、作風が元に戻り、この作品のようにドギツくなりました。私としては、良い旅ができたと思っています。
この作品は、とても面白い! と言ってくださる方がいらっしゃる一方で、批判的に捉える方も多い作品です。精神疾患や、DV、監禁など、社会問題を赤裸々に書いています。もちろん、面白半分に作ったわけではなく、モデルがいらっしゃいます。私はどうしてもそのことを書きたかった。黙って通り過ぎることが出来なかったのです。
中には、夢オチじゃないか、と言われる方もいらっしゃいましたが、どう読むかは、読者様の自由なので、そういう捉え方もできるのかなと思いましたが、一応、それは否定しておきます。この話は夢オチではなく、現実として書きました。
暴力がいけないこと、というのは、当たり前ですが、特に今の時代になると、それはそれで、憐れむべき状況、のようになってきました。この清らか過ぎる夫婦が、外とのつながりをもう少し持てていたら。奥さんの方が精神科にかかっていたにも関わらず、それが出来なかったのは、不幸なことでした。
誰も救われない話を書いてしまったなあ。と、自分でも考えますが、しかし、こう書くしかなかった。現実は夢物語では語れないからです。
変なあとがきも書いてありますが、気にしないでください。どうかささやかな楽しみになりますように!(藍崎万里子)