世に出る前四六判260ページ

私の学生時代の自伝的な小説である。

私、金井博信は富山市の時計店を営む両親の長男として生まれ、幼少の頃は病弱であったが、小学三年生の頃、野球というスポーツに魅了され、野球少年として成長していく。中学、高校でも野球部に在籍し、レギュラーではなかったものの、それなりに活躍した。人並みに恋もしたし、同年代の映画女優に入れ込んだこともあった。大学は東京の私大に進学。家の経済状況が苦しかったので、新聞奨学生としての生活をスタートさせた。小説家になるという野望を抱き、大学のサークルでは文芸部に入部。小説を拙いながらも書きまくった。苦学しながらも、無事四年間で大学は卒業した。郷里に帰って教師になるつもりでいたが、夢を捨てきれず、漫画原作者の大家が経営する東京の出版社に就職する。

以上が、だいたいのストーリーである。私は何か特別なことをしたわけでもない。読み返すと、つくづく恥の多い青春時代を過ごしたものであると思う。あとがきにも書いたが、私の人生の一つの節目の時期に書いた作品です。私があちこちに書き散らしていた愚作の集大成的なものでもあります。

皆さん、よろしくお願い致します。(内角秀人)