《第二回空華文学賞》

「毒を食らうぐらいなら」アオ著

第二回空華文学賞は、令和3年の秋に募集を始め、12月31日に締切られました。満枠の30篇の御応募が御座いました。平均枚数は、45.93枚でした。応募作品は以下の通りです。一次選考通過作品は○、二次選考通過作品は◎、受賞作品は★を付してあります。受賞作は、左の画像リンクから詳細を御覧下さい。

ギザギザ仮面麻雀鬼43枚
いっき冷たい海66枚
山口茂訪問者34枚
ふじたごうらこ共鳴95枚
池脇亮猿の国8枚
湯舟ヒノキ放課後ダークイエロー36枚
深井戸睡睡ここは何もない街38枚
浅野トシユキはい、コトブキ結婚相談所です35枚
山口要虹色の彼女22枚
アオ毒を食らうぐらいなら51枚
牧村燈太宰とJKが過ごしたある初夏の日67枚
さくらぎマジカルバナナ12枚
内野あきたけ垢玉60枚
文子夕夏拝啓、鳩子へ66枚
吉田正年孤独な人たち66枚
夢酔藤山南蛮渡りの悪魔81枚
安田マリ12歳の少女22枚
風騒葛静脈の白ゆき28枚
伊和七種父さんのお気に入りの部下52枚
宮地まりか寄付の終わり45枚
原宮葉月呼び寄せるのは夏の風42枚
オクマ・ソ・グミガスキーグミ!!71枚
早乙女純精神科医夏目小五郎事件簿
岡山発十一時三十五分 愛の「しおかぜ九号」
59枚
横山愛椛ジャノメエリカは知っていた82枚
こばやしりゅうき繋ぎ止める女73枚
黒阪亮太四十五年後の謝罪47枚
梅鉢表裏鱈が飲み込んだ指4枚
魅智~人死体3枚
塩水鶏神よ、人の祈りよ、喜びよ44枚
松井里映蟻地獄の深海魚26枚

空華文学賞第二回目ですが、第一回よりも多くの作品が集まったばかりではなく、下読み係が面白いと思うものが多く寄せられました。すべての作品に感想を述べる中で思いましたが、どうしても下読み係が選ぶと純文学贔屓になるなということです。今回も、歴史小説や推理小説などが寄せられましたが、面白く感じはするものの、ほかの純文学系のものよりも受ける感慨が少ないということがあり、どうしてもそれらを選考に残すことが出来ませんでした。逆に言えば、純文学よりも感慨深いほかのジャンルの小説を読んでみたい気もします。

そのようにして、下読み係の好きさ加減で五点満点の点数を付け、五点になったものだけ残したところ、一次選考には五作品残りました。五作品について、選考係三人で読み直し、改めて選考係ごとに好きさ加減の順位を付けました。そして、おのおのの作品の順位の三人の平均値を取ったのですが、おどろいたことに、三作品が同率で並んでしまったのです。

そこで、その三作品について、三人で点数を付けました。好きさ加減のファヴォ点と上手さ加減の技術点です。詳しい結果は、空華第一五号に掲載しますが、そのファヴォ点と技術点の合計が最も高かったものが、「毒を食らうぐらいなら」でした。三人の評価は異なりましたが、三人の合計で言えば、ファヴォ点も技術点も二位であったのがこの作品です。それだけ、バランスが取れているのかもしれません。

ほか二作の簡単な寸評を記述しておきますと、「垢玉」内野あきたけ著は、開高健氏の「玉、砕ける」を思い起こさせる奇抜なアイデアで読ませましたが、技術面に於いて藍崎万里子が強く推しました。UMA58にも好評だったのですが、大坪命樹が表現やオチの付け方が好みでなかったために、ファヴォ点が落ち込みました。また、「呼び寄せるのは夏の風」原宮葉月著は、画材店の家族の浮気から親殺しと心中という深い闇が偲ばれる作品でしたが、大坪命樹がファヴォ点を高く評価しました。しかし、文章表現が個性的であるためか、三人ともに技術点が低く評価され、総合点が伸びませんでした。詳しい寸評は、空華第一五号に掲載いたしますので、御興味のある方は、ネットショップなどでお買い求めください。

「毒を食らうぐらいなら」アオ著は、三人の評価が平均的に高く付いたため、受賞となりました。それだけ、多くの人に理解される作品なのかもしれません。簡単な感想は、以下に掲載しましたので、御覧下さい。

受賞作品は、空華第一五号に掲載致します。我々の同人小説よりも、ことによると面白く感じるかもしれませんので、みなさんも是非読んでみてください。

■受賞作の感想