《第三回空華文学賞》

「マグニフィカ遊戯」式似名著

第三回空華文学賞は、令和4年の春に募集を始め、6月26日に締切られました。満枠の30篇の御応募が御座いました。平均枚数は、91.30枚でした。応募作品は以下の通りです。一次選考通過作品には○、二次選考通過作品には◎、受賞作には★を付してあります。受賞作は、左の画像リンクから詳細を御覧下さい。

虚ノ桜おまん十郎106枚
ピエロいっき94枚
一羽原口賢治57枚
羽ばたきの声音後藤田郁子84枚
発達障害のある子の居場所さがし秋谷進70枚
逃避行水叉直96枚
せっちんダイアリー美佐直秀樹150枚
曲がり角の多い街片野久夫60枚
梅雨明けの海倉多俊作61枚
奇蹟の豚駒川三十郎93枚
ダフネのような恋をしよう赤佳井綾継紀51枚
木の人井上まる128枚
マグニフィカ遊戯式似名110枚
青い運動靴上柚阿礼57枚
高架下のカラス秋一番51枚
ロット梶田哲志83枚
The Speaker柏木サツキ69枚
VARIETY風間僚134枚
精神の水の物語海鳴洋一郎150枚
平坦な道三日月豆84枚
ヘルメン吉田定理128枚
上京決戦椎葉勇逸124枚
45歳の恋の形中村卓91枚
さよならの追懐雫石つみき131枚
ポルトガルから来た女Kitsuny_Story62枚
聖女は眠ったりしない樹亜希98枚
ラストホリデイ渡辺秀康130枚
猫の島Maki56枚
初夢なんて見ない杜崎まさかず79枚
白のヤーヤ安田真理子52枚

空華文学賞も、無事第三回を迎えることが出来ました。今回から、枚数制限をキツくしたため、作品の集まり具合が少々不安でしたが、危惧したほどのこともなく満枠の作品が集まりました。御応募戴いた皆さん、重ね重ねありがとう御座いました。

しかし、多くの力作が認められる一方で、文法が正しくなかったり誤字が多かったりするものが少数ではありますが目立ちました。僕らも、偏見をできるだけ排して選考しているつもりではありますが、どうしても日本語的に正しくないものは、印象が悪いです。これは、当文学賞に限らないことなのではないでしょうか。文学賞に応募する際には、くれぐれも推敲を重ねて、文法誤りの少ない状態にしてほしいと、お願いする次第で御座います。せっかくの作品も、乱れた筆致では印象が悪くなってしまいます。また、小説は文法の正しさも作品の美しさの要素になるものです。文法が間違っていると、せっかくのアイデアも作品が生きてきません。

今回は、第二次選考からは、ゲスト選考係として第二回空華文学賞受賞者のアオさんを迎え、三人で選考を行いました。その結果、最終選考には、「マグニフィカ遊戯」のほかに「梅雨明けの海」と「ヘルメン」が残りました。三作品とも、二次選考では技術点とファヴォ点の合計の総合点が高かったものです。「梅雨明けの海」は、繰り返しのプロットに必ず老人が助けに出てくるパターンに面白さが見出されました。最後の漁師兄妹の譚が始めの海亀保護の記事に繋がっているところが、不可思議で面白いという評価でした。「ヘルメン」は、ヘルメンという未知の言葉に藤井の曲を象徴させるようなところが興味深いという意見がある反面、西村の立ち直りが意外に早いとか、言霊が叶ったり叶わなかったりの偶然性が説得力に欠けると言った意見が出ました。「マグニフィカ遊戯」は、横文字ばかりで読みにくいという意見もありましたが、キリンと金平糖、鬼とシリンジ、遺跡とラチェットなどの奇抜なものの取り合わせが面白いという評価は一致しました。

討論した後に三つを五段階評価で評したところ、三人の合計点は「梅雨明けの海」11点、「ヘルメン」11点、「マグニフィカ遊戯」12点と僅差でしたが、最も点数の高い「マグニフィカ遊戯」に決定いたしました。「マグニフィカ遊戯」の簡単な感想は、以下に掲載いたします。

この受賞作品は、空華第一六号に掲載致します。空華には異質のSFファンタジーです。ぜひ読んでみてください!!

■受賞作の感想